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労働基準法改正で何が変わるか|経営に効く5つのポイントと組織開発の準備【徹底解説】

解説:森田英一(beyond globalグループ President & CEO) 公開: 更新:
労働基準法改正で何が変わるか|経営に効く5つのポイントと組織開発の準備【徹底解説】

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この動画の結論

残業や休みの問題は個人でなく組織の構造の問題です。40年ぶりの労基法改正では業務委託や管理職の残業代など5つが論点で、改正前に先手を打つことが信頼につながります。

動画の基本情報

動画タイトル その組織、違法です。労基法改正で「やってはいけない」5つの施策を1000社支援のプロが解説【つながらない権利/働き方改革/経営改善】
解説者 森田英一(もりっしー)/beyond globalグループ President & CEO
国内外1,000社以上の組織開発・研修を支援。日本の人事部「HRアワード2013」教育・研修部門 最優秀賞
テーマ 人事制度・評価/組織開発
再生時間 30:25
再生回数 6,089回視聴※YouTubeより自動取得
動画の公開日 2026年1月10日
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=n0VuJfI42rg
チャンネル グローバル社長の「志」で自走する組織開発チャンネル

労働基準法について、大きな見直しが検討されています。現在の労働基準法制の基本的な枠組みが作られた時代と比べ、リモートワークやフレックス、副業など、働き方は大きく多様化しました。「うちの組織は大丈夫なのか」「何をやってはいけないのか」と不安を感じる経営者や人事担当の方は少なくありません。

結論から言えば、残業や休みの問題は個人の頑張りや根性だけの問題ではなく、組織の人手不足や構造の問題でもあります。見直しの内容はまだ確定していませんが、勤務間インターバルや連続勤務、「つながらない権利」など、さまざまな論点が議論されています。人をすり減らし、犠牲の上に成り立つマネジメントには限界があります。この記事では、現在議論されている主なポイントと、今やってはいけない組織開発、そして社長・役員が今すぐやるべきアクションを解説します。

現象のメカニズム

問題の根本には、働き方が大きく変化しているという背景があります。リモートワーク、フレックス、副業、業務委託の一般化など、働き方は多様化しました。こうした変化に対応しながら、働く人の健康や生活時間をどう確保するかが課題になっています。

特に残業は、個人の問題というよりも組織の人手不足と構造の問題であるケースがあります。シフトが埋まらない、アルバイトが急に来なくなる、その穴を店長がすべてカバーする。こうした構造がある限り、個人に精神論を求めても解決しません。構造の課題として扱う必要があります。

さらに、社会の見る目も厳しくなっています。今はSNSなどを通じて企業の働き方が広く知られる時代です。労働者の健康やウェルビーイングを重視する流れが強まる中、従来型のマネジメントを続けている会社は注意が必要です。

労働基準法の見直しで議論されている5つのポイント

現時点ではまだ確定していない内容もありますが、今後の労働基準法制をめぐって議論されている主な論点を整理します。まず一覧を示し、そのあとで解説します。

No. 論点 ポイント
1 業務委託の労働者性 契約名称だけでなく、実際の働き方から労働者性を判断する
2 管理職・管理監督者の扱い 肩書きだけでなく、実際の権限や勤務実態を確認する
3 時間外労働 長時間労働の是正や健康確保のあり方を検討する
4 勤務間インターバル・連続勤務 十分な休息や生活時間を確保する仕組みを検討する
5 つながらない権利 勤務時間外の連絡・対応のあり方を検討する

1つ目は業務委託の労働者性です。契約上はフリーランスや業務委託であっても、実際の働き方によっては労働基準法上の「労働者」に該当する可能性があります。契約の形式や名称だけではなく、実態を踏まえて判断されます。

2つ目は管理職・管理監督者の扱いです。「管理職」という肩書きが付いているだけで、必ず労働基準法上の管理監督者になるわけではありません。実際にどのような権限や責任を持ち、どのような勤務実態になっているかを確認する必要があります。

3つ目は時間外労働です。現在、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり、労使が合意した場合でも、特別条項には年720時間以内などの上限があります。長時間労働の是正や健康確保について、引き続き議論が行われています。

4つ目は勤務間インターバルと連続勤務です。夜遅くまで働いて、また朝から働くような勤務をどう防ぎ、十分な休息や生活時間を確保するかが議論されています。5つ目は「つながらない権利」で、仕事終わりや休日の連絡・対応のあり方についても検討されています。

絶対にやってはいけない組織開発5選

こうした働き方の変化を踏まえ、避けたい組織運営を5つ挙げます。まず一覧を示し、そのあとで1つずつ解説します。

No. やってはいけないこと リスク
1 フリーランス・外注化で人件費から逃げる 契約と実態がずれ、労働者性が問題になるリスク
2 管理職に仕事と責任を全部押し付ける 管理職の燃え尽きと健康リスク
3 長時間労働を前提に業務を組む 睡眠不足による健康・精神面のリスク
4 本社一元管理で現場の実態を無視する 形だけの対応で現場が変わらない
5 50代以上を冷遇する 組織への不信やブランド毀損につながる

フリーランス・外注化で人件費から逃げる

業務委託が一般化し、正社員ではなく業務委託契約で働く人も増えています。しかし、過去に社員だった人が業務委託になっても働き方が変わらないなど、実態として社員に近い形で働いているケースには注意が必要です。

労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかは、契約の形式や名称だけではなく、実際の働き方を踏まえて総合的に判断されます。契約と実態にずれがないかを確認することが大切です。また、同じ職場で働く人同士に大きな格差があると、一体感がなくなり、組織の雰囲気が悪くなることもあります。

管理職に仕事と責任を全部押し付ける

管理職という名前にして残業代をゼロにし、長時間働かせ、健康管理もしない。人手不足で、予定していたアルバイトが急に来なくなり、店長が全部カバーするといったケースです。いわゆる「名ばかり管理職」になっていないかを確認する必要があります。

対策としては、人手不足のところは人員を増やすことを考える必要があります。採用チャネルを広げるなど、今までのやり方に固執せず選択肢の幅を広げることが大切です。

長時間労働を前提に業務を組む

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合でも、特別条項には年720時間以内などの上限があります。こうした上限を「通常の働き方」として前提にするのではなく、長時間労働が常態化している場合は業務の組み方そのものを見直す必要があります。

睡眠不足や長時間労働が続けば、健康面への負担も大きくなります。個人の頑張りに頼るのではなく、人員配置や業務量など、組織側の構造を見直すことが重要です。

本社一元管理で現場の実態を無視する

これまで現場ごとに運用していたものを本社一元管理にするとき、現場の実態を無視して形だけ整えてしまうケースです。本社主導で形だけ作っても、現場の働き方が変わっていなければ意味がありません。

法律や制度が変わったからと就業規則だけ変えて形だけ対応するのは避けるべきです。現場の実態がどうなっているかを本社側もきちんと把握することが大切です。

50代以上を冷遇する

2025年4月から、高年齢者雇用確保措置に関する経過措置が終了しました。企業は、定年制の廃止、65歳までの定年の引き上げ、希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講じる必要があります。

こうした制度への対応だけでなく、ベテラン社員にどう活躍してもらうかを考えることも重要です。配置や役割を含め、その人の経験や強みを生かせる仕組みをもう一度考える必要があります。

社長・役員が今すぐやるべき組織開発アクション5選

経営者や人事が対応すべきアクションを、1つずつ解説します。

誰がどんな契約で働いているかを整理する

各部署ごとにバラバラで、会社全体として管理が行き届いていない、直属の上司が雇用形態を理解していないケースがあります。オフィスで一緒に働いていると、社員か業務委託か分からなくなることもあります。契約と実態がずれていないかを調査し、一覧化します。

特に注意すべきなのは、命令系統がどうなっているか、時間のコントロールや働く時間・場所がどうなっているかを把握することです。契約内容と実際の働き方を正確に把握することが大切です。

管理職の要件と健康配慮を見直す

管理職にしわ寄せが行っている会社は多く、残業申請もしていないため現状が把握できていないケースがあります。見えないからいいのではなく、実態を把握する努力をすることが大切です。あわせて管理職の健康配慮をルールとして定め直します。

今管理職になっている人が、実際にどのような権限と責任を持っているのかを再整理します。管理職とはどういう人なのかを再定義し、全体で認識を合わせるよい機会です。管理職に負荷が集中しすぎない仕組みづくりを心がけてください。

残業・休日・インターバルを見える化する

誰がどれくらい働いているかがブラックボックス化しているケースがあります。残業・休日・勤務間インターバルの実態を見える化してください。実態を誰も把握していない状態は避ける必要があります。

見える化すると、この部署は勤務間の休息が短い、この部署は残業が多すぎるといったことが分かります。24時間対応のシステム監視、24時間営業の店舗、病院など、業種・業態によって勤務がイレギュラーになりやすい実態をつかむことが大切です。残業は個人だけの問題ではなく、組織の人手不足や構造の課題として扱ってください。

つながらない権利を意識してコミュニケーションを設計する

休日や時間外に連絡するのが当たり前になっている会社があります。今すぐ対応しなければならないのか、緊急度の基準を定義しておくことが大切です。

メールやチャットツールの送信時間についてルールを定めたり、時間外の返信を当然のものとして求めないようにしたりするなど、休息を確保できるコミュニケーション設計を考えます。顧客対応についても、営業時間外の対応方針を社内外で共有しておくことが大切です。

働き方設計を今から見直す

今後の法改正の内容にかかわらず、働きすぎ・残業しすぎ・十分な休息が取れない・シフトが回らないといった問題は、早めに見直す必要があります。問題が起きた後ではなく、先手を打つことが大切です。人を増やす、構造を変える、営業時間を短くする、顧客に理解を求めるなど、さまざまな方法があります。

休日の顧客連絡が常態化している場合には、休日の対応方針を取引先にあらかじめ伝えるといった方法もあります。社内だけで解決しようとせず、顧客にも働き方への理解を求めることが必要な場合があります。

やることが同じでも、問題が起きてから対応するのと、経営者が先手を打つのとでは、社員の受け止め方も変わります。今できるところから見直しておくことが大切です。

明日から着手する順番

今後の労働基準法制の見直しも見据えた準備を、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。

  1. 誰がどんな契約(社員・業務委託など)で働いているか、契約と実態のずれを調査して一覧化する。
  2. 命令系統・労働時間・勤務場所を正確に把握し、見えないリスクを洗い出す。
  3. 管理職の権限・責任の実態を再整理し、管理職の要件と健康配慮のルールを定め直す。
  4. 残業・休日・勤務間インターバルの実態を見える化し、負荷が集中している部署を特定する。
  5. 時間外連絡の緊急度基準と、チャット送信時間・返信に関するルールを再設計する。
  6. 働き方を今から見直し、必要に応じて人員配置や顧客への案内などを準備する。

よくある質問

労働基準法は現在見直しが検討されていますか?

はい。勤務間インターバル制度や連続勤務規制、「つながらない権利」など、今後の労働基準法制についてさまざまな議論が行われています。ただし、現時点では確定していない内容もあります。

見直しで注目されるポイントはいくつありますか?

この記事では、業務委託の労働者性、管理職・管理監督者の扱い、時間外労働、勤務間インターバル・連続勤務、つながらない権利の5つを取り上げています。

業務委託は労働基準法の対象になりますか?

契約の名称だけでは判断されません。業務委託やフリーランスであっても、実際の働き方によっては労働基準法上の「労働者」に該当する可能性があります。

管理職なら残業代は出ないのですか?

「管理職」という肩書きだけで決まるわけではありません。労働基準法上の管理監督者に該当するかどうかは、実際の権限や責任、勤務実態などを踏まえて判断されます。

時間外労働の上限は何時間ですか?

原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり労使が合意した場合でも、特別条項には年720時間以内などの上限があります。

勤務間インターバルとは何ですか?

勤務終了後から次の勤務開始までに、一定の休息時間を確保する考え方です。夜遅くまで働いて翌朝すぐに勤務するような働き方を避け、十分な休息や生活時間を確保するための仕組みです。

つながらない権利とは何ですか?

勤務時間外の仕事上の連絡や対応から離れることに関する考え方です。日本でも、そのあり方について議論されています。

やってはいけない組織開発はいくつありますか?

この記事では5つ挙げています。外注化による人件費逃れ、管理職への丸投げ、長時間労働を前提にした業務設計、現場実態の無視、50代以上の冷遇です。

偽装フリーランスとは何ですか?

契約上はフリーランスであっても、実態として労働者に該当するような働き方をしているケースなどが問題になります。契約名称だけでなく、実際の働き方を確認することが重要です。

名ばかり管理職の何が問題ですか?

肩書きは管理職でも、実際には十分な権限や裁量がないなど、労働基準法上の管理監督者に該当しない可能性があることです。

長時間労働を常態化させるとどうなりますか?

健康面への負担が大きくなります。長時間労働を個人の頑張りで補うのではなく、人員配置や業務量など組織の構造を見直すことが重要です。

65歳までの雇用はどうなっていますか?

2025年4月から高年齢者雇用確保措置の経過措置が終了しています。企業は、定年制の廃止、65歳までの定年引き上げ、希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかを講じる必要があります。

SNS時代にはどんなリスクがありますか?

企業の働き方や職場環境に関する情報が広く拡散される可能性があります。法令への対応だけでなく、従業員が安心して働ける環境づくりも重要です。

まず何から把握すべきですか?

誰がどんな契約で働いているかです。契約と実態のずれ、命令系統、労働時間、勤務場所などを調査して一覧化します。

管理職についてまず何をすべきですか?

実際の権限・責任や勤務実態を確認し、管理職の要件と健康配慮を見直します。

残業は個人の問題ですか?

個人だけの問題とは限りません。人手不足や業務量、シフトなど、組織の構造が原因になっている場合があります。

時間外連絡はどう設計すべきですか?

緊急度の基準を定め、勤務時間外の返信を当然のものとして求めないなど、十分な休息を取れる仕組みを考えることが大切です。

顧客からの休日連絡はどう対応すべきですか?

営業時間外の対応方針を会社として決め、必要に応じて顧客にも共有します。社内だけでなく、取引先や顧客にも働き方への理解を求めることが大切です。

改正前から働き方を見直す意味は何ですか?

法改正の有無にかかわらず、長時間労働や休息不足などの問題を早めに改善できるからです。問題が起きる前に、今できるところから見直しておくことが重要です。

従業員体験(エクスペリエンス)とは何ですか?

社員が会社で働く中で得るさまざまな体験を指します。制度だけでなく、社員がどのように感じながら働くかという視点から職場環境を考えることも重要です。

まとめ

  • 労働基準法制をめぐって、勤務間インターバルや連続勤務、「つながらない権利」など、さまざまな見直しが議論されています。
  • 残業や休みの問題は個人の頑張りだけではなく、組織の人手不足や構造の問題として扱う必要があります。
  • 外注化による人件費逃れや名ばかり管理職など、契約や役割と実態がずれた組織運営には注意が必要です。
  • まず契約と実態のずれを一覧化し、管理職の実態確認と労働時間の見える化から着手します。
  • 法改正を待つだけでなく、従業員が安心して働ける環境を今から整えておくことが大切です。

まずは誰がどんな契約で働いているかを一覧化し、契約と実態のずれの点検から始めてみてください。

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