出世して権限を持ち、やりたいことをやれる立場になりたい。そう心に秘めている方は少なくありません。一方で、同じように頑張っていても、5年・10年と付き合ううちに「この人は行けるな」という人と「この人は厳しいな」という人に分かれていきます。その差はどこにあるのか、気になるところです。
結論から言えば、出世できるかどうかは才能や運ではなく、思考と行動の構造に決まった特徴があります。次世代経営者研修や役員選抜に数多く関わる中で見えてきた、役員に昇進できる人とできない人の違いは、視座・行動・対人・マインドの4カテゴリ30項目に整理できます。この記事では、その構造30選を解説します。
現象のメカニズム
出世できるかどうかに差が出る根本には、口癖に表れる思考の癖があります。「目的は何だろう」「ボトルネックはどこか」「そもそも何が問題か」といった問いを常に立てる人は、視座が高く判断がぶれません。この思考の癖は、口癖を変えることで身につけられます。
もう一つの構造は、昇進には転換点があるという点です。一般社員から社長までには7段階あり、6つのターニングポイントがあります。スーパープレイヤーがスーパーマネージャーではなく、スーパーマネージャーがスーパー経営者ではありません。段階ごとに求められる能力が変わるため、過去の成功体験から自分をアップデートできる人だけが上がっていきます。
さらに、昇進には卒業方式と入学方式があります。卒業方式はプレイヤーとして完璧だから次へ進める形で、マネージャー適性は未知数です。入学方式は、次の段階の能力を最低限持っていると分かるから任せる形です。自分から役割を広げてトライアルを仕掛ける人ほど、確信を持って引き上げてもらえます。
役員に昇進できる人・できない人の構造30選
役員に昇進できる人とできない人の違いを、4カテゴリ30項目で整理します。まず一覧を示し、そのあとでH3でカテゴリごとに解説します。
| カテゴリ | 項目数 | 要点 |
|---|---|---|
| 視座と思考の質 | 8項目 | 目的・全体最適・先手・客観判断・不確実な意思決定など |
| 行動・実行スピード | 7項目 | 即断即決・60点主義・QCDのバランス・再現性など |
| 対人・マネジメント | 8項目 | 結論から話す・期待値コントロール・権限委譲・部下を守るなど |
| マインドセット | 7項目 | 変化を楽しむ・フィードバック受容・自己投資・顧客中心など |
視座と思考の質(1〜8)
1つ目は目的です。できない人はすぐ作業に入りますが、できる人は目的から逆算して動きます。2つ目は全体最適で、自分のタスクだけでなく会社全体の中での位置づけを見ます。3つ目は先手で、後手の火消しではなく依頼思考で先手を打ちます。4つ目は客観判断で、感情や主観でなく事実情報と数値ベースで判断します。
5つ目は不確実な意思決定です。正解のない中で、30点は早すぎても、成功確率が半分を超える60点や、イノベーティブで早く動けば勝てるものは60点で意思決定します。答えのないことを決めるのが経営者の仕事です。6つ目はリスクとリターンをセットで考えること。7つ目は属人性の排除で、仕組み化・自動化を進めます。属人化は嬉しく麻薬的ですが、組織はスケールしません。8つ目はボトルネックの特定で、センターピンとなる問題を見抜きます。
行動・実行スピード(9〜15)
9つ目は即断即決即実行で、失敗しても大きなダメージがないものは早くやります。10つ目は60点主義で、完璧を求めず60点で一旦出し、高速でPDCAを回して80点100点を目指します。最初に10〜20点のアウトラインで上司や顧客と握り、手戻りをなくすことが肝です。11つ目はQCD(品質・コスト・納期)のバランスを見極めることです。
12つ目は失敗の本質改善で、同じ失敗を繰り返さず、なぜ起きたかを考えて本質から改善します。13つ目は自走力で、指示待ちでなく自分から仕掛けます。14つ目は余裕を持つことで、締め切りギリギリでなく前に終わらせます。上司の余裕は部下の相談しやすさと心理的安全性につながります。15つ目は再現性で、運任せでなく再現性のある成果を出せるよう体制を整えます。
対人・マネジメント(16〜23)
16つ目は結論から話すことで、上司の時間を奪わず、何をしてほしいのかを明確に伝えます。17つ目は期待値コントロールで、何でも安請け合いせず、納期やクオリティ、適任者を踏まえて調整します。18つ目はネガティブな情報ほど即座に共有すること。19つ目は相手視点で、自分の言いたいことでなく相手の意図や状況を先読みします。
20つ目は権限委譲で、自分がボトルネックにならないよう他の人でもできることは任せ、自分は一段上の仕事をします。21つ目は部下を守ることで、部下のミスも自分の責任として引き受け、信頼残高を高めます。22つ目は強みを引き出すことで、欠点ばかり指摘せず部下の強みを見出して活用します。23つ目は根回しと人間関係で、キーパーソンに筋を通して仕事を円滑に進めます。
マインドセット(24〜30)
24つ目は変化を楽しむことで、現状維持でなく変化をチャンスと捉えます。25つ目はフィードバックの受容で、指摘を攻撃でなく成長の栄養として受け取ります。26つ目は役割を広げることで、「ここは自分の仕事でない」と線を引かず、上や横の仕事を取りに行きます。
27つ目は自己投資で、過去の遺産で食いつながず学習し続けます。28つ目はやる理由を作り出すことで、できない理由でなくやれる方法を見つけます。29つ目はモチベーションで動かすことで、恐怖や威圧でなく心理的安全性の高い関係を作ります。30つ目は顧客中心で、社内事情や上司の顔色でなく顧客価値をど真ん中に置きます。
解決策・打ち手
30項目を5つのポイントに絞った打ち手を、H3で1つずつ解説します。
視座を高く保つ
部分最適だけを見るのではなく、全体最適や高いところから物事を見ます。「目的は何だろう」「ボトルネックはどこか」といった問いを口癖にすることが、視座を高める最も効果的な方法です。視座と思考の質のカテゴリに関連する口癖を身につけることを意識してください。
早く動く
今の時代はスピードが速く、遅くなるとタイミングを逃します。リスクが低いところであれば、即断即決即実行でどんどん進めます。60点で一旦出し、高速でPDCAを回して精度を上げていく人が出世をつかんでいます。
人を動かす
仕事はチームで行うため、周りへの影響力が重要です。対部下だけでなく、上司へのリーダーシップ、顧客や取引先への影響力も含めて、いい影響を及ぼして巻き込んでいきます。結論から話す、期待値をコントロールする、部下を守るといった行動が信頼を生みます。
再現性のある成果を出す
属人性で成果を出すのではなく、再現性のある成果を出します。そのためには仕組みを作ることが大切です。たまたま成果が出たときも「再現性のある形にするには何が必要か」を考え、体制やプロセスを整えます。
人を育てる
ビジネスをやるのは人であり、人が育たないと組織は強くなりません。権限委譲や仕組みづくりを通じて人を育てられる人が出世します。部下の強みを見出して活用し、モチベーションと心理的安全性を高める関わりが、チームのレベルアップにつながります。
明日から着手する順番
出世できる人に近づく行動を、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。
- 「目的は何だろう」「ボトルネックはどこか」を口癖にして、視座と思考の質を高める。
- リスクの低い仕事は60点で一旦出し、上司や顧客と早めに握って高速でPDCAを回す。
- 報告は結論から話し、ネガティブな情報ほど即座に共有する。
- 安請け合いをやめ、納期・クオリティ・適任者を踏まえた期待値コントロールをする。
- 他の人でもできる仕事を権限委譲し、自分は一段上の仕事に役割を広げる。
- 変化をチャンスと捉え、フィードバックを栄養として受け取り自己投資を続ける。
よくある質問
出世できる人の特徴はいくつありますか?
30項目あります。視座と思考の質8項目、行動・実行スピード7項目、対人・マネジメント8項目、マインドセット7項目です。
出世できる人の特徴は何カテゴリに分かれますか?
4カテゴリです。視座と思考の質、行動・実行スピード、対人・マネジメント、マインドセットの4つに分類されます。
視座を高めるのに最も効果的な方法は何ですか?
口癖を変えることです。「目的は何だろう」「ボトルネックはどこか」を口癖にすると、視座と思考の癖が最も早く変わります。
不確実な状況では何点で意思決定すべきですか?
物によりますが60点でも決めます。成功確率が半分を超える、あるいはイノベーティブで早く動けば勝てるものは60点で決めます。
属人化はなぜ良くないのですか?
組織がスケールしないからです。あなたにしかできないと言われる喜びは麻薬的で、人が育たず属人的な組織になってしまいます。
ボトルネックの特定とは何ですか?
センターピンを見抜くことです。倒せば他も倒れる最重要の問題を特定し、投資対効果の高いところに時間を使います。
60点主義とは何ですか?
完璧を求めず60点で出すことです。まず60点で小さく試し、高速でPDCAを回して80点100点を目指す方が速く質も上がります。
60点で出す時のコツは何ですか?
最初にアウトラインを握ることです。10〜20点の段階で上司や顧客と方向性を握り、手戻りをなくすことが肝心です。
QCDとは何ですか?
品質・コスト・納期です。クオリティ、コスト、デリバリーの3つのバランスで仕事は決まり、この見極めが重要です。
期待値コントロールとは何ですか?
安請け合いしないことです。納期やクオリティ、適任者を踏まえて調整し、上司や顧客との期待値を事前にすり合わせます。
結論から話すのはなぜ重要ですか?
上司の時間を奪わないためです。悪い報告ほど言い訳で長くなりがちですが、結論を先に伝え何をしてほしいかを明確にします。
権限委譲はなぜ必要ですか?
自分がボトルネックになるからです。他の人でもできることは任せ、自分は一段上の仕事をすることで組織がレベルアップします。
部下のミスは誰の責任ですか?
上司の責任です。管理責任が残るため、部下のミスも自分の責任として引き受けて守ると、上司の信頼残高が高まります。
根回しは悪いことですか?
悪いことではありません。仕事を円滑に進めるために必要で、キーパーソンに筋を通すことが変革の成否を分けます。
フィードバックはどう受け取るべきですか?
成長の栄養として受け取ります。指摘を攻撃と捉えず、勇気を持って言ってくれたと感謝し、自分をアップデートします。
昇進の転換点はいくつありますか?
6つあります。一般社員から社長まで7段階あり、段階ごとに求められる能力が変わる6つのターニングポイントがあります。
卒業方式と入学方式の違いは何ですか?
判断基準です。卒業方式はプレイヤーとして完璧だから進む形、入学方式は次の段階の能力を持つと分かるから任せる形です。
役割を広げると何が得られますか?
影響範囲と責任です。上や横の仕事を取りに行くと影響範囲が広がり、上司が責任を任せやすくなるトレーニングにもなります。
恐怖や威圧で動かすと何が起きますか?
信頼を失います。短期成果は出ても長期的に足元をすくわれ、心理的安全性が下がって本音が上がってこなくなります。
仕事ができるのに出世しない人がいるのはなぜですか?
属人性が高いからです。プレイヤーとして優秀でも仕組み化やチームで動かす視点がなく、便利に使われてしまうためです。
まとめ
- 出世できるかどうかは才能や運でなく、視座・行動・対人・マインドの4カテゴリ30項目の構造で決まります。
- 視座を高く保ち、リスクの低いものは早く動くことが、出世の基本姿勢です。
- チームで成果を出すため、部下だけでなく上司や顧客への影響力で人を動かす力が求められます。
- 属人性でなく再現性のある成果を出し、仕組みを作って人を育てられる人が昇進します。
- 昇進には6つの転換点があり、卒業方式でなく入学方式で自ら役割を広げる人が引き上げられます。
まずは「目的は何だろう」「ボトルネックはどこか」を口癖にすることから始めてみてください。
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