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ベテラン社員を腐らせる会社の構造とは|役職定年や老害の空気が招く逆選抜と解決策

解説:森田英一(beyond globalグループ President & CEO) 公開: 更新:
ベテラン社員を腐らせる会社の構造とは|役職定年や老害の空気が招く逆選抜と解決策

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この動画の結論

働かないおじさんは個人でなく会社の構造問題です。放置すると優秀な人が辞めます。ベテランを腐らせる構造的欠陥は5つあり、強みを生かす役割分担で活躍できます。

動画の基本情報

動画タイトル 優秀なベテランを"戦力外"にしているのは本人でなく会社の構造だった|社員を活かす組織設計【組織開発/マネジメント/人材活用/シニア人材/経営者】
解説者 森田英一(もりっしー)/beyond globalグループ President & CEO
国内外1,000社以上の組織開発・研修を支援。日本の人事部「HRアワード2013」教育・研修部門 最優秀賞
テーマ コミュニケーション/管理職・幹部育成/組織開発
再生時間 29:14
再生回数 7,034回視聴※YouTubeより自動取得
動画の公開日 2026年8月2日
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=CnmQd03-oh4
チャンネル グローバル社長の「志」で自走する組織開発チャンネル

「働かないおじさん」は、若手から見ると困った存在です。あまり働いていないのに給料は高く、AIもうまく使いこなせない。一方で自分はバリバリ働いているのに給料が上がらない。日本企業ではこうした社員を解雇せず、そのまま放置しているケースも少なくありません。

しかし、働かないおじさんは、もともと働かない若者だったわけではありません。若い頃は活躍していた人が、そうなってしまった背景があります。つまり、おじさん個人だけではなく、そういう人を作ってしまう会社の構造にも原因があります。しかも放置すると、頑張っている優秀な人が「頑張らない人が優遇される」と感じて辞めていく逆選抜につながります。この記事では、ベテラン社員を腐らせる組織の構造的欠陥5選と、3つの対策を解説します。

現象のメカニズム

働かないおじさん問題の根本には、会社が彼らを解雇しないことが、逆に会社の基準値を下げてしまうという構造があります。解雇しないこと自体は悪くありませんが、活躍の場を用意せず放置すると、基準値がどんどん下がります。

すると、優秀な人の離職リスクが上がります。平等にしようとするほど、頑張っている人が「会社は頑張らない人を優遇している」と感じ、逆選抜のような状態になってしまうからです。優秀な人から辞めていくことにもつながるため、これは会社全体の問題です。

だからこそ、おじさん個人の問題にしてはいけません。会社の構造問題として捉える必要があります。せっかく会社にいるのなら、その人なりに活躍してもらうことが会社にとって非常に大切です。この構造を理解しないまま放置すると、組織全体が悪くなっていきます。

ベテラン社員を腐らせる組織の構造的欠陥5選

50代・60代を戦力外にしてしまう、組織の構造的欠陥を5つ挙げます。まず一覧を示し、そのあとで1つずつ解説します。

No. 構造的欠陥 問題点
1 一律の評価基準という名の思考停止 年代で異なる強みを無視し成果が出ない
2 リスキリングを本人任せにしている 時間もきっかけもなく学び直しが進まない
3 役割と権限をセットで奪っていく 役職定年で年齢一律にやる気を奪う
4 「老害」という空気感の放置 ベテランが発言しにくくなり萎縮する
5 キャリアの終着点を提示できていない いい終わり方が見えず夢を持てない

一律の評価基準という名の思考停止

上司によって評価基準がバラバラなのは良くありませんが、20代のバリバリ体力がある人と50代の人では、体力も筋力も違います。20代に「行動量で勝負しろ」はよくても、50代・60代に同じことを求めるのはきついものです。

人にはそれぞれの生かし方があります。50代のベテランだからこそ生きるのは、若手の育成、リスク回避、社内の人間関係調整や政治的調整などです。ベテラン社員が強みを生かせる領域をきちんと任せて評価すれば、50代・60代が生きてきます。何を期待し、何を求めるか、それに紐づく評価項目は何かを考え直すことが大切です。

リスキリングを本人任せにしている

リスキリングとは学び直しです。今までのスキルだけでは生き残れない人に、AIを学んでもらう、職種転換する、今の仕事を効率化するためにAIを学ぶといったことです。昔は時代の進歩が遅く、学生時代に学んだことで一生食べていけましたが、今は求められるスキルが時代によって変わります。

例えば経理財務のオペレーションがAIでできるようになると、必要な人数が減り、AIを駆使した高度な分析が重要になります。このリスキリングを社員任せにしていないかが問われます。忙しくて学びに行けない、どこで学べばいいか分からない、費用が何十万円もかかる、といった理由で本人任せでは進みません。

シンガポールにはスキルズフューチャーという政府主導の制度があり、研修費用への支援があります。日本にも人材開発支援助成金などがあるため、うまく活用すればコストを抑えてリスキリングの機会を作れます。積極的に取り組んでいる会社とそうでない会社では、大きな違いが出ます。

役割と権限をセットで奪っていく

役職定年を導入している会社の話です。例えば55歳になったら管理職の肩書きや権限を一斉に取り上げるケースがあります。55歳はまだまだバリバリやれるのに、下の人にポジションを与えるためとはいえ、一律に行うと、やる気がなくなってしまいます。

年齢が来たからもう頼りにされていない、期待されていない存在だと思った途端に、やる気がなくなります。役割と権限を奪った途端に、やる気も奪われるのです。55歳から65歳まであと10年あるとすれば、10年間のやる気を奪うのは大きな損失です。

役職定年は、日本企業で見られる雇用慣行の1つです。海外では、年齢を理由とした一律の扱いが年齢差別として問題になる場合もあります。管理職に適性のない人に管理職を辞めてもらうのはよいものの、まだバリバリできる人から年齢だけを理由にいきなり役割や権限を奪うのは問題があります。年齢ではなく、実力や適性で見た方がよいのです。

「老害」という空気感の放置

「老害」という言葉が社内で広がると、ベテランが発言しにくくなります。「この会社をもっとこうしたい」と熱く語ると、若手から「老害だよね」と言われる。この言葉には強い殺傷力があります。

さらに新卒のベースアップが起きて若手が大事にされる一方、ベテランは老害扱いになると、居心地が悪くなり肩身が狭くなります。すると、ひねくれて今までのノウハウや知見を若手に伝授しなくなります。経営者がベテランの過去の功績を語り、みんながそれを認識して、ベテランには強みを生かして頑張ってもらう役割分担が必要です。

キャリアの終着点を提示できていない

役職定年で管理職から外され、あと5年、10年働いてどう辞めていくのかがイメージできず、夢が持てない。夢がない中で、老後のために貯金があった方がいいからとりあえず働くか、と作業者として働くのは、とてももったいないことです。

それよりも「これから新しい役割を担ってほしい」「65歳まで、こう貢献して有終の美で終えてほしい。そのための舞台は準備する」と、いい形で終えるシナリオが見えるようにしてほしいのです。人生100年時代で、65歳で辞めても100歳まで35年あります。社内起業や副業で今までの知見や人脈を生かすなど、次のキャリアへの橋渡しをすると、やる気が湧きます。

3つの対策

働かないおじさんが生まれる構造を、良い循環に変えるための3つの考え方を解説します。

ポートフォリオの考え方

ポートフォリオは、事業戦略などで使われる、複数を組み合わせてリスクを分散する考え方です。これを個人にも当てはめ、1人1役割ではなく、いくつかの役割を組み合わせて担ってもらいます。

例えば50代で役職を降りても、現場実務をやる役割、若手育成の役割、外部とのコネクションを作り強固にする役割、これまでの経験をナレッジ化してAIに学習させる役割などを分散して組み合わせます。いろいろやる中で、その人が一番得意な分野や好きな分野が見えてきます。

具体的には、週の何割かはこの仕事、週の3割は若手のメンター役、週の3割は過去のトラブル事例をデータベース化してAIに学習させる役割、といった形で組み合わせるとよいのです。この考え方で50代以上と接し、役割や契約を見直します。

リバースメンタリング

通常のメンタリングはメンターが若手に教えますが、リバースメンタリングは若手がベテランに教えます。AIやSNS事情は若手の方が詳しいことも多いため、AIの使い方や最近のInstagram・TikTokの流行を若手から教わります。

リスキリングは会社が提供するだけでなく、人同士で教わり合うこともできます。若手からAIやSNSを教わる一方、ベテランは経験してきた業界の裏側や社内政治の調整術といった経験値を若手に教える。お互いに教え合う関係を作ると、組織が活性化します。

ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」という考え方があります。お互いから学び合い、どんどん進化していく組織は非常にパワフルになります。教えられ続ける役ではなく、教えたり教えられたりする関係が健全です。

両利きの経営を実践する

両利きの経営は、知の探索と知の深化の両方が必要だという考え方です。知の深化は今やっていることを深掘りして改善すること、知の探索は新規事業や新しいテクノロジーの活用など、新しい分野を探ることです。多くの会社では知の深化に偏り、知の探索が弱くなることがあります。

知の深化はベテラン社員の経験を生かしやすい領域です。一方、知の探索では、若手にAI分野や新しいテクノロジー、新しい市場などを調べてもらい、リバースメンタリングで教え合うことで、それぞれの強みを生かせます。

ベテランには、今あるものをよりよくするにはどうするかをメインのお題にし、そのために若手の知の探索の結果を聞いて今の事業に生かしてもらいます。若手とベテランをペアにして役割分担し、チームとして動いてもらうこともおすすめです。強みを生かす形に組織を再編成します。

明日から着手する順番

ベテラン社員を生かす取り組みを、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。

  1. 50代・60代に何を期待し、何を求めるかを整理し、それに紐づく評価項目を年代の強みに合わせて見直す。
  2. ベテランの過去の功績を経営者が語り、社内の「老害」という空気感を放置しない。
  3. 補助金や助成金を活用し、AIなど新しい技術に触れるリスキリングの機会を会社が提供する。
  4. ポートフォリオの考え方で、1人に複数の役割(実務・若手育成・ナレッジ化など)を組み合わせて任せる。
  5. 若手がAI・SNSを教え、ベテランが経験値を教えるリバースメンタリングの関係を作る。
  6. 若手に知の探索、ベテランに知の深化を割り振り、ペアで動く両利きの経営を実践する。

よくある質問

働かないおじさんは個人の問題ですか?

個人だけの問題ではなく、会社の構造が影響しているケースもあります。もともと働かない若者だったわけではなく、会社の仕組みや役割の与え方によって、そうした状態になっている場合があります。

働かないおじさんを放置するとどうなりますか?

優秀な人の離職リスクが高まります。会社の基準値が下がり、頑張らない人が優遇されていると感じることで、頑張っている社員が会社を離れることにつながります。

ベテラン社員を腐らせる構造的欠陥はいくつありますか?

5つあります。一律評価、リスキリングの本人任せ、役割と権限の剥奪、老害の空気、終着点の不提示の5つです。

一律の評価基準の何が問題ですか?

年代による強みの違いを生かしにくいことです。若手とベテランに同じ行動量だけを求めるのではなく、それぞれの強みに応じた役割や評価を考えることが大切です。

50代のベテランが生きる領域は何ですか?

若手育成やリスク回避、社内の人間関係調整や政治的調整などです。強みを生かせる領域を任せて評価することが大切です。

リスキリングとは何ですか?

学び直しのことです。AI活用や職種転換など、仕事の変化に対応するために新しい知識やスキルを身につけます。

リスキリングを本人任せにしてはいけないのはなぜですか?

忙しさや学び先の不明さ、費用などが壁になり、本人任せでは進みにくいからです。会社側が学ぶ機会を提供することも大切です。

シンガポールのリスキリング制度とは何ですか?

スキルズフューチャーです。国民の継続的な学びやスキル向上を支援する、政府主導の取り組みです。

役職定年とは何ですか?

一定の年齢を目安に役職から外れる仕組みです。企業によって制度の内容や対象年齢などは異なります。

役職定年の何が問題ですか?

年齢だけを基準に一律で役割や権限を外すと、まだ活躍できる人のやる気まで奪ってしまう可能性があります。

役職定年は海外にもありますか?

日本企業で見られる雇用慣行の1つです。海外では、年齢を理由とした一律の扱いが年齢差別として問題になる場合もあります。

「老害」という言葉の何が問題ですか?

ベテランが萎縮することです。熱く語ると老害と言われるような環境では発言しにくくなり、持っているノウハウや知見も共有されにくくなります。

キャリアの終着点の提示とは何ですか?

今後どのような役割を担い、どのようにキャリアを終えていくかを見えるようにすることです。次の役割や舞台を示すことで、働く意味を持ちやすくなります。

人生100年時代でベテランに何ができますか?

次のキャリアへの橋渡しを考えることができます。社内起業や副業など、これまでの知見や人脈を生かす選択肢もあります。

対策はいくつありますか?

3つあります。ポートフォリオの考え方、リバースメンタリング、両利きの経営の3つです。

ポートフォリオの考え方とは何ですか?

1人に複数の役割を組み合わせる考え方です。実務・若手育成・外部連携・ナレッジ化などを分散して担ってもらいます。

リバースメンタリングとは何ですか?

若手がベテランに知識やスキルを共有する取り組みです。例えばAIやSNSを若手から教わり、ベテランは経験やノウハウを若手に共有するなど、お互いに学び合います。

学習する組織を提唱したのは誰ですか?

ピーター・センゲです。組織のメンバーが継続的に学び、組織として成長していく考え方として知られています。

両利きの経営とは何ですか?

知の探索と知の深化の両方に取り組む経営の考え方です。既存の知識や事業を深めながら、新しい知識や可能性も探索していきます。

若手とベテランの役割分担はどうすべきですか?

例えば、若手が新しい技術や市場を探索し、ベテランがこれまでの経験を生かして既存事業を深める形があります。それぞれの強みを生かしながら、互いに学び合うことが大切です。

まとめ

  • 働かないおじさんは個人だけの問題ではなく、そうした状態を生み出す会社の構造にも原因があります。
  • 放置すると会社の基準値が下がり、優秀な人が辞めていく逆選抜につながる可能性があります。
  • ベテランを腐らせる構造的欠陥は、一律評価・リスキリングの本人任せ・権限剥奪・老害の空気・終着点の不提示の5つです。
  • 対策として、ポートフォリオの考え方・リバースメンタリング・両利きの経営を取り入れ、強みを生かす役割分担を考えます。
  • 若手とベテランがそれぞれの強みを生かし、互いに教え合う組織を作ることが大切です。

まずは50代・60代に何を期待するかを整理し、年代の強みに合わせた評価項目の見直しから始めてみてください。

動画特典

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この記事の内容は、YouTubeで実際の事例を交えて解説しています。

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