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社員への愛が空回りする理由とは|福利厚生が逆効果になる7つの原因と3つの打ち手

解説:森田英一(beyond globalグループ President & CEO) 公開: 更新:
社員への愛が空回りする理由とは|福利厚生が逆効果になる7つの原因と3つの打ち手

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この動画の結論

社長の愛が社員に届かないのは人柄でなく構造の問題です。福利厚生など衛生要因では人は動かず、7つの原因を正して親からパートナーへ立場を変える必要があります。

動画の基本情報

動画タイトル 【組織のプロが語る】もう我慢しないでください!頭のいい想いのある社員は必ず止めます【経営者/愛の空回り/マネジメント/従業員エンゲージメント】
解説者 森田英一(もりっしー)/beyond globalグループ President & CEO
国内外1,000社以上の組織開発・研修を支援。日本の人事部「HRアワード2013」教育・研修部門 最優秀賞
テーマ リーダーシップ/組織開発/離職防止・定着
再生時間 27:18
再生回数 7,131回視聴※YouTubeより自動取得
動画の公開日 2026年6月6日
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=Em8c7MZfCy0
チャンネル グローバル社長の「志」で自走する組織開発チャンネル

特別休暇制度を作り、ランチ補助を用意し、オフィスをきれいにする。社員に喜んでほしくて手を尽くしているのに、なぜか定着せず、満足度も上がらない。むしろ「社長はわがままだ」「もっとこうしてほしい」というリクエストばかりが返ってくる。そんな片思いのような寂しさや孤独を感じている経営者は少なくありません。

結論から言えば、社長の愛が届かないのは人柄や努力の問題ではなく、組織の構造とコミュニケーションのすれ違いに原因があります。社員が何を考えているかがわからないまま施策を打つと、せっかくの取り組みが空回りし、場合によっては逆効果になります。この記事では、社長の愛が社員に届かない7つの原因と、親からパートナーへ立場を変えるための3つの解決策を解説します。

現象のメカニズム

社長の愛が空回りする根本には、施策の多くが「衛生要因」に偏っているという構造があります。オフィスをきれいにする、食事を奢る、休憩室を作る、制度を整えるといった取り組みは、不満を減らすことにはつながっても、それだけで「もっと頑張ろう」という動機になるとは限りません。

これに対し、仕事そのものの達成感や承認、成長など、人を前向きに動かすものが「動機付け要因」です。頑張って成果を上げたことが認められる、成長を実感できるといったことが動機付けにつながります。衛生要因ばかりを充実させても、それが次第に当たり前になれば、感謝や仕事への意欲に直接つながらなくなることがあります。

さらに、社長と社員では立場によって物事の見え方が正反対になります。社長にとって給料日はお金が出ていく日ですが、社員にとっては給料を受け取る日です。この認識ギャップを埋めないまま愛情表現を重ねても、思いがうまく伝わらないことがあります。

社員への「愛」でやってはいけないことTOP3

本題に入る前に、性格の良い社長ほど落ちやすいNG行動を3つ挙げます。まず一覧を示し、そのあとで1つずつ解説します。

No. NG行動 起きる問題
1 不満を聞きすぎてルールをコロコロ変える 公平性が崩れ、声の大きい人が得をする
2 ローパフォーマーを守り続ける 組織の基準値が下がり、ぬるま湯化する
3 「みんなには内緒だよ」と一部だけ優遇する 透明性が損なわれ、社長が裸の王様になる

不満を聞きすぎてルールをコロコロ変える

1つ目は、社員の個別要望に従ってルールを変えたり特例を認めたりすることです。良い社長ほどこの罠にはまります。ある社員の要望を聞いて変え、また別の社員の要望を聞いて変える、ということを繰り返すのです。

その結果、会社の中の公平性のバランスが崩れます。声の大きい人が得をして、黙って地道に頑張っている人が「わずらわしいな」と感じてしまいます。要望に応えているつもりが、周りからは「社長は声の大きい人に流される」と見られてしまうのです。

ローパフォーマーを守り続ける

2つ目は、十分な成果を出せていない社員、あるいは周りに悪影響を及ぼす社員を、情によって守り続けることです。昔から支えてくれた、良いやつだからという理由で抱え続けてしまいます。

すると頑張っている社員は「社長は成果より情が大事なのか」「成果を上げなくてもいいのか」と感じる可能性があります。組織全体の基準が下がり、ぬるま湯化してしまえば、優秀な社員が「この環境では成長できない」と感じて離れていくこともあります。情があるのは人間味として良いことですが、それが組織に与える影響を見ずにその場対応をするのは良くありません。

「みんなには内緒だよ」と一部だけ優遇する

3つ目は、「みんなには内緒だよ」と言って一部の社員だけを優遇することです。会社の中で内緒を貫くのは難しく、こうした対応を続けると組織の透明性が損なわれます。

結果として派閥のようなものができ、「あの人は社長に気に入られている」といった話が広がることがあります。しかも、そうした声ほど社長本人には届きにくく、裸の王様化していく可能性があります。社長は「みんなには内緒だよ」という特別扱いを避けた方がよいのです。

社長の「愛」が社員に届かない7つの原因

ここからが本題です。組織開発の現場で見えてきた、社長の愛が届かない7つの原因を解説します。

原因1 生存の保証を愛だと勘違いしている

社長は雇用を守っているという責任感とプライドを持っています。だからこそ「雇用を守っているんだからこれをやってほしい」という思いが強くなりがちです。しかし社員からすると、雇用や給与は会社との契約に基づくものという認識があり、それを理由に強く求められると、認識ギャップが生まれます。

社長にとって給料日は大きなお金が出ていく日ですが、社員にとっては働いた対価として給料を受け取る日です。キャッシュフローが厳しいときに社長が個人資金や借り入れで会社を回していることを、社員は知らないこともあります。ここで社長の思いと社員の受け止め方にずれが生まれます。

原因2 自己犠牲が同調圧力に見えている

創業期に休みを削り、借金を背負って会社と社員のために頑張ってきた。その背中を見せれば見せるほど、社員は「社長と同じことをやれ」という無言のプレッシャーを感じることがあります。

社長に悪気はなくても、自己犠牲をアピールしたり背中で見せたりするほど、社員には重たく感じられる場合があります。人生をかけて愛情を注いでいるという思いが、逆方向に伝わってしまうのです。

原因3 よかれと思っての福利厚生が麻薬になっている

オフィスをきれいにする、飲み会を奢る、休憩室を作る、制度を作る。こうした施策の多くは、ハーズバーグの二要因理論でいう「衛生要因」に近いものです。不満を減らすことには役立っても、それだけで仕事への強い意欲が生まれるとは限りません。

こうした環境面の充実だけを続けていると、最初は喜ばれていたものが次第に当たり前になり、さらに新しい要望が出てくることがあります。福利厚生を充実させること自体が悪いわけではありませんが、それだけに頼らず、仕事そのものの達成感や成長、承認といった動機付け要因にも目を向けることが大切です。

原因4 会社の成長を社員の幸せに翻訳できていない

「売上100億円を目指す」と掲げても、それは本当に社員の目標でしょうか。社長の野望ではあっても、社員にどんなメリットがあるのか、自分も目指したいと思えるのかが見えないケースは多くあります。上場を目指すと言っても、社員からは「仕事が増えるだけ」に見えることもあります。

会社がこの目標を達成すると、あなたのキャリアや仕事の幅がこうなる、給料や待遇にこうつながる、と個人に落とし込むことが大切です。社長が自分の夢や野望ばかり語っても社員には響きません。社員一人ひとりにとってどんな意味があるのかを翻訳して伝える必要があります。

原因5 厳しい正論を優しさというオブラートで包みすぎる

優しく伝えること自体は悪くありません。しかし、本当は嫌われることを恐れて必要なことまで曖昧にしてしまうケースもあります。社員からすると「社長は何を求めているのかわからない」となり、期待されている基準が伝わらなくなります。

上司がどの基準を求めているかわからない曖昧な指導は、社員の成長を妨げることがあります。褒めるところは褒めつつ、改善が必要なところは明確に伝える。相手への配慮と、求める基準を伝えることの両方が必要です。

原因6 親心がいつの間にか支配欲にすり替わっている

「親なんだからこうしなさい」と子どもをコントロールしようとして反発される、ということが会社でも起こります。「俺がお前を育ててやろう」と思うほど、自分の思う方向にコントロールしようとしてしまうのです。

社長が自分と同じ考え方や行動を社員に求めすぎると、社員自身の強みや個性が生かされにくくなります。上は満足せず、下は自信を失い、自分らしく働きたい人ほど窮屈さを感じて離れていく可能性があります。

原因7 感謝のタイミングと解像度がずれている

期末に「みんなありがとう」「よく頑張った」と言う社長は多いものです。しかし、みんなに対してざっくり言うだけでは、一人ひとりには十分伝わらないことがあります。特定の人を挙げると贔屓に見えるからと、個別に言わずに済ませてしまいがちです。

しかし人は「自分はどうだったのか」を知りたいものです。自分のどこが良かったのか、どの行動が今期の成果につながったのか、という解像度の高いフィードバックや感謝の言葉が大切です。期末ごとに全社員へ個別の手紙を書く社長もいます。

解決策・打ち手

経営者は「親」という立場から、社員の「パートナー」という立場へ変換していく必要があります。そのための3つの方法を解説します。

弱さの自己開示で社員との距離を縮める

社長は完璧であらねばと演じがちで、それが無言のプレッシャーになることがあります。プレッシャーを自分だけで抱え込むのではなく、社長が感じているリスクや本音を、少なくとも幹部とは共有してほしいのです。「今こんなリスクを抱えている」「一人で解決しようとしてきたが突破口が見えないので、力を貸してほしい」と頼ります。

「俺は完璧だ」と振る舞うほど社員との距離が開くことがあります。「あなたの力が必要だ。一緒にやろう」とパートナーの立場になることで、社員も自分事として考えやすくなります。弱さを適切に自己開示し、社員を頼ることが、関係性を変えるきっかけになります。

完璧な社長を演じ続けると、社員から意見を言いにくい関係になり、裸の王様化する可能性があります。最初は勇気がいりますが、社員を頼り、パートナーとして関わることが大切です。

成長ロードマップで社員の目標と会社の成長をつなげる

社長の夢だけでグイグイ引っ張るのは無理が出ます。社員にもそれぞれ、自分自身の目標やキャリアがあります。社長の夢を、社員一人ひとりの夢や成長と重ね合わせる地図を作ります。社員が成長して市場価値が上がる、給料が上がる、といったことに翻訳するのです。

1on1の中で、会社の目標と社員個人の成長シナリオ、成長のロードマップを一緒に作ります。会社がこう成長したらあなたはどうなりたいか、そのためにどんなチャレンジをするか、この給料を希望するならどんな役割を担うか。会社の目標と個人の目標を重ね合わせる時間にしてください。

公平な評価制度をつくる

優しい社長ほど個別対応や特別扱いをしたくなり、昔からの人を贔屓したくなることがあります。しかし、これを続けると組織の公平性が損なわれます。組織を社長個人の判断だけで回すのではなく、みんなが納得できる仕組みにしていくなら、評価を属人的なものにせず、公平な仕組みに落とし込む必要があります。

公平性と客観性のある人事制度・報酬制度に落とし込むことで、頑張った人や成果を出した人が報われる形をつくります。社員への愛情を個別の特別扱いではなく、公平な仕組みとして表現することも、経営者にとって大切な役割です。

これがないと、頑張っている人ほど納得できず、離職につながる可能性があります。社員にとっては、自分の頑張りや成果が適切に評価され、報酬などに反映されることも重要です。他社で成功した制度をそのまま取り入れるのではなく、自社が何を大事にするか、どんな組織を作りたいかに合わせて設計する必要があります。

明日から着手する順番

親からパートナーへ立場を変えるための行動を、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。

  1. NG行動3つ(ルールの朝令暮改・ローパフォーマーの温存・内緒の優遇)を自分がしていないか点検する。
  2. 福利厚生などの衛生要因に偏っていないかを見直し、仕事そのものの動機付け要因に目を向ける。
  3. 期末のざっくりした感謝ではなく、個人ごとに解像度の高いフィードバックを伝える。
  4. 抱えているリスクや本音を、少なくとも幹部に自己開示し、力を貸してほしいと頼る。
  5. 1on1で会社の目標と社員個人の成長ロードマップを一緒に作り、目標を重ね合わせる。
  6. 属人的な評価を減らし、公平で客観的な人事・報酬制度を自社の価値観に沿って設計する。

よくある質問

社長の愛が社員に届かないのはなぜですか?

組織の構造とコミュニケーションのすれ違いが原因の一つです。社員の本音がわからないまま施策を打つと空回りし、逆効果になることもあります。

福利厚生を充実させても満足度が上がらないのはなぜですか?

福利厚生の充実だけでは、仕事そのものへの意欲につながらないことがあるからです。不満を減らす環境整備だけでなく、達成感や承認、成長といった動機付け要因も重要です。

衛生要因と動機付け要因の違いは何ですか?

ハーズバーグの二要因理論では、衛生要因は不足すると不満につながる要因、動機付け要因は仕事への満足や意欲につながる要因として整理されています。

やってはいけないNG行動は何ですか?

この記事では3つ挙げています。ルールをコロコロ変える、ローパフォーマーを守り続ける、一部だけを内緒で優遇する、の3つです。

不満を聞いてルールを変えると何が起きますか?

個別の要望だけでルールを頻繁に変えると、公平性が損なわれることがあります。声の大きい人だけが得をしているように見えれば、地道に頑張る人の不満につながります。

ローパフォーマーを守り続けるとどうなりますか?

求める成果や行動の基準が曖昧になり、頑張っている社員の納得感を損なう可能性があります。必要な支援をしながら、期待する基準を明確にすることが重要です。

「みんなには内緒だよ」がなぜ問題なのですか?

組織の透明性や公平性を損なう可能性があるからです。一部の社員だけが特別扱いされていると受け取られると、不信感につながります。

雇用を守ることは愛として伝わりますか?

社長にとっては大きな責任でも、社員には雇用契約の前提として受け取られることがあります。立場による認識の違いを理解することが大切です。

自己犠牲を見せると社員はどう感じますか?

場合によっては「自分たちも同じように働かなければならない」という無言のプレッシャーとして受け取られることがあります。

「売上100億円」の目標が響かないのはなぜですか?

社員自身にとっての意味が見えないことがあるからです。会社の成長が自分の仕事やキャリアにどうつながるのかまで伝える必要があります。

会社の目標を社員に響かせるにはどうすればよいですか?

社員一人ひとりにとっての意味に翻訳します。会社の目標達成によって、キャリアや役割、成長機会などがどう変わるのかを具体的に伝えます。

優しく伝えることの何が問題なのですか?

優しく伝えること自体は問題ではありません。ただし、配慮するあまり求める基準まで曖昧にすると、社員が何を改善すればよいのかわからなくなります。

親心が支配欲に変わるとはどういうことですか?

社員のためを思う気持ちが、いつの間にか自分の考え方や行動を押し付けることにつながる状態です。社員自身の強みや考えを尊重することが必要です。

期末の「みんなありがとう」はなぜ刺さらないのですか?

一人ひとりへの具体性が不足しやすいからです。どの行動が良かったのかを個別に伝えることで、感謝や評価がより伝わりやすくなります。

解決策は何個ありますか?

この記事では3つ挙げています。弱さの自己開示、成長ロードマップの共有、公平な評価制度の3つです。

弱さの自己開示にはどんな効果がありますか?

社長が抱えている課題や本音を適切に共有することで、社員との距離が縮まり、一緒に課題を解決するパートナーとしての関係を築きやすくなります。

成長ロードマップはどこで作ればよいですか?

1on1などの対話の場で作ります。会社の目標と社員個人の成長シナリオを一緒に描き、両者がどこで重なるのかを確認します。

なぜ公平な評価制度が重要なのですか?

頑張りや成果が適切に評価されることで、社員の納得感につながるからです。個人的な好き嫌いや特別扱いではなく、一定の基準に基づいて評価することが大切です。

他社の評価制度を真似してもよいですか?

参考にすることはできますが、そのまま導入してもうまく機能するとは限りません。自社が何を大事にするか、どんな組織を作りたいかに合わせて設計することが重要です。

組織のフェーズで愛の形は変えるべきですか?

組織の規模や成長段階に応じて、社員との関わり方や仕組みを変えていく必要があります。人数が増えるほど、個別対応だけではなく公平な制度やルールが重要になります。

まとめ

  • 福利厚生などの環境整備だけでなく、仕事そのものの達成感や承認、成長といった動機付け要因にも目を向けることが大切です。
  • 社長の愛が届かない背景には、立場による認識の違いやコミュニケーションのすれ違いがあります。組織のフェーズに応じて関わり方も変える必要があります。
  • ルールの朝令暮改・ローパフォーマーの温存・内緒の優遇は、組織の公平性や納得感を損なう可能性があります。
  • 愛が届かない7つの原因は、生存の保証・自己犠牲・福利厚生・目標の翻訳不足・過度な優しさ・支配欲・感謝のずれです。
  • 解決策は弱さの自己開示、成長ロードマップの共有、公平な評価制度の3つで、親のように一方的に与える関係から、パートナーとして一緒に組織を作る関係へ変えていくことがポイントです。

まずは福利厚生などの衛生要因に偏っていないかを点検し、個人への解像度の高い感謝を一つ伝えることから始めてみてください。

動画特典

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