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報連相をやめて飛躍した組織とは|沈黙祭を防ぐ確連報・雑相・おひたしの実践

解説:森田英一(beyond globalグループ President & CEO) 公開: 更新:
報連相をやめて飛躍した組織とは|沈黙祭を防ぐ確連報・雑相・おひたしの実践

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この動画の結論

報連相を基本とするのは日本だけで、徹底ほど部下の主体性を奪います。業務前に確認する確連報と雑相へ変え、サイボーズは離職率を28%から4%に下げました。

動画の基本情報

動画タイトル ダメな上司は「報連相」を徹底させる|優秀なリーダーが共通してやる"真のマネジメント"とは|自走する組織のつくり方【組織開発/マネジメント/リーダーシップ/管理職/チームビルディング】
解説者 森田英一(もりっしー)/beyond globalグループ President & CEO
国内外1,000社以上の組織開発・研修を支援。日本の人事部「HRアワード2013」プロフェッショナル部門 最優秀賞
テーマ コミュニケーション/マネジメント/組織開発
再生時間 33:38
再生回数 6,893回視聴※YouTubeより自動取得
動画の公開日 2026年7月4日
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=utJ2XIBhEjE
チャンネル グローバル社長の「志」で自走する組織開発チャンネル

「新入社員になったら報連相を徹底しろ」。日本のビジネスの場で、昔から当たり前のように言われてきた言葉です。何か問題があったらすぐ上司に報告する。連絡を絶やさず、相談を欠かさない。多くの職場で仕事の基本として教えられてきました。

しかし、報連相が仕事の基本だと教えているのは、世界中で日本企業だけです。海外では報連相という概念すら通じません。そして報連相を徹底するほど、部下の主体性が奪われ、情報が上司に集約されて依存型の組織になっていきます。原因は部下個人のやる気ではなく、中央集権的なコミュニケーション構造にあります。この記事では、報連相が組織を壊すメカニズムと、代わりに導入すべき確連報・雑相という新しいフレームワークを解説します。

現象のメカニズム

報連相が組織を劣化させる根本には、情報がすべて上司に集約される中央集権的な構造があります。報連相がうまく機能すればチームは大きな力を発揮しますが、中途半端だと部下の主体性を奪う落とし穴があります。

上司に情報も責任も集まり、なるべく早く悪いことを報告しろという形になると、依存型が生まれやすくなります。海外で日本人が上司につくと「日本人はマイクロマネジメントだ」と言われるのは、報連相を求めるからです。

結果として、メンバーが育ちにくく、上司が一人で頑張らなければならず、上司がどんどん辛くなります。報連相はチームで助け合うためのものですが、上司の聞き方や指示の仕方がうまくないと、逆に組織を硬直化させてしまうのです。

報連相が招く3つの組織劣化プロセス

組織行動学的に言われる、報連相が招く3つの組織劣化プロセスを解説します。まず一覧を示し、そのあとでH3で1つずつ解説します。

段階 プロセス 起きること
第1段階 形式化による目的の喪失 報連相自体が目的化し、上司に怒られない報告に脳内を取られる
第2段階 情報のフィルター化と美化された嘘 自己防衛で悪い情報を隠し、経営の判断ミスを誘発する
第3段階 完全な沈黙・沈黙祭の完成 沈黙し、限界まで言わず、最後まで我慢する状態になる

第1段階 形式化による目的の喪失

報連相を行うこと自体が絶対にやらなければならない形になると、やること自体が目的化します。本来は目標達成のための手段にすぎないのに、何かあったらすぐ報告しろとなると、上司がマイクロマネジメント的になり、部下も逐一報告・相談しなければと考えます。

すると、自分の思いを持って進めるよりも、上司にお伺いする、怒られない報告をどうするか、に脳内のシェアを取られてしまいます。相談の瞬発力は早いのに「お前どうしたいんだ」と聞かれると考えていない、というケースが起きます。お客さんへの価値提供や成果が仕事の中心なのに、上司に怒られない相談・報告に若手が囚われてしまうのです。

第2段階 情報のフィルター化と美化された嘘

細かく報連相して上司から怒られることが続くと、部下は自己防衛のために悪い情報を隠したり、都合のいい解釈で編集して伝えたりするようになります。トラブルがあるのに自分のせいを小さく、お客さんのせいを大きく見せる、といったことです。

上司が特に叱責するような人だと、情報が美化されフィルターがかかり、結局それは嘘ではないかという状態になります。こうして経営の判断ミスを誘発してしまいます。悪い報告を早くしろと言っているはずが、逆に嘘を生む構造になるのです。

第3段階 完全な沈黙・沈黙祭の完成

報連相しても否定されるだけ、相談したら仕事が増えるだけとなると、沈黙祭が完成します。沈黙祭とは、沈黙する・限界まで言わない・最後まで我慢するの略です。「困っていることはないか」と聞いても「特にありません」と答える状態です。

沈黙祭が起きているとチームが末期症状に近づいているサインです。部下が主体性を捨て、上司の顔色を伺いながら言われたことだけこなし、目が死んでいきます。報連相をやれと言った結果こうなってしまうのは、上司の聞き方や指示の仕方に原因があります。

自走組織を支える「分散型」の思想

報連相がうまくいかないなら、コミュニケーションの構造自体を見直す必要があります。従来の報連相は情報をすべて上司に集約する中央集権的な構造です。これだと上司の責任が重く、意思決定が遅くなり、メンバーが依存型になって組織が硬直化します。

本来は、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮し、権限も持ち、オープンに情報共有し合ってチームのパフォーマンスを最大化するのがよいのです。これは中央集権ではなく分散型です。上司に報告する義務ではなく、チームみんなで活用する共有財産として情報を扱います。

みんなで目標を達成するために情報を出し合おう、という発想です。中央集権型から自立分散型・自走型へパラダイムシフトすることが必要になります。そのための2つの新しい原則を、次に解説します。

報連相に代わる「確連報」と「雑相」

中央集権型から自立分散の自走型へ移る時にリーダーが浸透させるべきコミュニケーションは、報連相ではなく確連報と雑相です。2つの原則をH3で解説します。

確連報 業務前の確認を最優先する

報連相の肝は、悪いニュースほどすぐ報告しろという、問題が起きた時の事後対応です。これに対し確連報は、業務がスタートする前の確認を最優先します。確連報の確は確認の確です。

業務を進める前に、この業務は何の目的なのか、何を目指すのか、求められる成果の基準や質はどのあたりか、どのタイミングで上司に報告するのかを、始める前にすり合わせます。日本企業は仕事を渡す時に雑で、「これちょっとやっといて」と渡し、部下が上司の顔色を伺って求めているものを想像できると仕事ができる人とされがちです。しかし人間にテレパシーはないので、必ずずれます。

海外では、仕事をやる前に確認事項をちゃんと言う上司がいい上司で、雑に渡す上司はダメ上司です。確連報の連は連絡で、進行中の状況をリアルタイムで淡々と共有します。確連報の報は報告で、仕事が終わった後に事前合意したゴールに対してどうだったかを報告します。判断基準を事前にすり合わせているので、部下はその範囲内で自分の裁量で意思決定でき、主体性が高まります。

雑相 結論前のカジュアルな相談を習慣にする

報連相の相談は、しっかり考えをまとめてから行くもので、部下からすると重たく言いにくいものです。この相談の義務をカジュアルにできる習慣にしようというのが雑相のコンセプトです。雑相の雑は雑談、相は相談で、結論が出る前の雑な相談です。

「まだアイデアなんですが」「ちょっとこんなことを考えているのですが」「未確認情報なんですが違和感があって」といった雑談ベースの話でよいとします。そうすると心理的ハードルが下がり、上司も聞きやすくなります。「相談です」だと考えてこなければと構えますが、「雑な相談でいい」とするとトラブルの目を早めに摘めます。

メンバーのアイデアを形式的でない場面で聞くと、上司のアイデアといい化学反応を起こすこともあります。外資系では雑談を誘発するお菓子スペースを部署の間に置き、ヨーロッパでは朝早く行って朝食を一緒に食べながら雑談する例があります。会議室に入るのではなく、立ち話をしながら雑相をする場面を作っていくのです。

リーダーの技術|部下の口を開かせる「おひたし」

仕組みを変えるだけでは変わりにくいため、上司が部下とのコミュニケーションの取り方を変える必要があります。部下の主体性を引き出すためにリーダーが守るべき原則が「おひたし」です。頭文字を取った言葉で、H3で解説します。

お 怒らない

悪い報告が来た時こそ怒ってはいけません。怒ると次から言いにくくなり、悪い報告が先送りになります。悪い報告が来た時こそ感情を横に置き、「よく言ってくれた」と部下を尊重する気持ちで聞きます。怒るとリスク隠蔽の始まりになります。

ひ 否定しない

部下の意見が自分と違う時、すぐ「お前は違う」と言いたくなりますが、部下が考えたという事実を一旦受け止めます。肯定するのとは違い、事実を受け止めた上で「なんでそう思ったの」と聞いてみます。すぐ否定すると部下は考えるのをやめ、上司の考えに合わせる思考停止に陥ります。部下の思考プロセスを尊重して理解しようと努めることが重要です。

た 助ける

部下が困っているのを少しでも見たら、上司から助けを出します。最近の若手は自分から「助けてください」と言いにくいため、上司から「何か手伝おうか」と降りていくとスムーズにいきます。昭和的に「困ったら自分で来い」ではなく、心理的安全性が高くない状態では言いにくいことを意識します。

し 指示する

指示は最終手段です。基本は部下が自立的に考えて行動することをサポートするスタンスですが、いろいろ質問してもなかなか出ず、別の方向に行きそうな時には、必要な場面で的確な方向を示します。ただし部下が自分で考えるプロセスを尊重し、気持ちを奪わない程度のサポートにとどめます。

解決策・打ち手

確連報・雑相・おひたしを実際に成果につなげた事例と、定着に必要な打ち手を解説します。

成功事例に学ぶ 分散型組織のかたち

1つ目はソフトウェア開発のソニックガーデンです。管理職をなくし、上司への情報集約がない自立分散型にしました。社員がリモートで働き、チャットツールで状況や悩みを独り言のように流し続けるオンライン常時接続型の雑相を実践し、承認待ちのリードタイムをなくして独創的なサービスを生み出し続けています。

2つ目はITソフトウェアのサイボーズです。社長の青野さんが経営情報を透明化し、100人100通りの働き方ができるようにして自立分散型にしました。離職率が28%から4%に下がり、報告の必要がない状態をどう作るかを目指しました。意思決定プロセスや情報を社内SNSでオープンにし、失敗も含めてオープンにしてみんなが学ぶ形で、社員の自立性を高めています。

評価の転換で自走を支える

自走型組織を支えるインフラとして、評価制度の転換が肝になります。ここが変わらないと結局上司が評価するとなり、顔色を伺うことになります。言われたことを正確にやったかで評価する限り、部下は受け身になります。評価の軸として、主体性、情報共有と協調性、リスク管理(確認の実践)の3つを重視します。

主体性は、現状をより良くするために自ら課題を見つけ周囲を巻き込んで実行したか。情報共有と協調性は、自分の範囲を超えてチームに情報や課題を共有し他者をサポートしたか。リスク管理は、着手前に不明点を確認し関係者と合意したかです。これらをベースに成果評価を行い、上司だけでなく一緒に働いたメンバー全員から評価を受ける360度評価も有効です。

明日から着手する順番

報連相から確連報・雑相へ移行する行動を、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。

  1. 自組織で沈黙祭(沈黙・限界まで言わない・最後まで我慢する)が起きていないか現状を把握する。
  2. 仕事を渡す前に、目的・ゴール・成果基準・報告タイミングを確認する確連報を実践する。
  3. 結論前の雑な相談ができるよう、立ち話や雑談の場を作って雑相を習慣にする。
  4. 上司が「おひたし」(怒らない・否定しない・助ける・指示する)を意識して部下の話を聞く。
  5. 情報をオープンに共有し、上司への集約から共有財産としての情報活用へ切り替える。
  6. 評価軸を主体性・情報共有と協調性・リスク管理の3つと成果に転換し、360度評価も取り入れる。

よくある質問

報連相を仕事の基本とするのは日本だけですか?

日本だけです。報連相が仕事の基本だと教えるのは世界中で日本企業だけで、海外では概念すら通じません。

報連相はなぜ組織を壊すのですか?

中央集権的な構造だからです。情報が上司に集約され、部下の主体性が奪われ依存型になり組織が硬直化します。

報連相が招く組織劣化は何段階ありますか?

3段階あります。形式化による目的の喪失、情報のフィルター化と美化された嘘、完全な沈黙祭の完成の3つです。

第1段階の目的の喪失とは何ですか?

報連相自体が目的化することです。上司に怒られない報告に脳内を取られ、成果や価値提供が後回しになります。

美化された嘘はなぜ起きるのですか?

自己防衛のためです。怒られ続けると部下が悪い情報を隠し編集して伝え、経営の判断ミスを誘発します。

沈黙祭とは何ですか?

沈黙・限界まで言わない・最後まで我慢するの略です。困っていても「特にありません」と答える末期症状のサインです。

報連相に代わる新しい原則は何ですか?

確連報と雑相の2つです。中央集権型から自立分散の自走型へ移る時に浸透させるべきコミュニケーションです。

確連報とは何ですか?

確認・連絡・報告です。確は確認で、業務前に目的・ゴール・成果基準をすり合わせることを最優先します。

報連相と確連報の違いは何ですか?

タイミングです。報連相は問題発生時の事後対応、確連報は問題が起きないよう業務前に確認する点が違います。

雑相とは何ですか?

雑談と相談です。結論が出る前の雑な相談で、心理的ハードルを下げてトラブルの目を早めに摘みます。

雑相を促す工夫はありますか?

雑談の場を作ることです。外資系はお菓子スペースを置き、ヨーロッパは朝食を一緒に食べながら雑談する例があります。

おひたしとは何ですか?

リーダーが守るべき4原則です。怒らない・否定しない・助ける・指示するの頭文字を取った言葉です。

なぜ怒ってはいけないのですか?

リスク隠蔽の始まりだからです。悪い報告で怒ると次から言いにくくなり、報告が先送りされてしまいます。

否定しないとはどういうことですか?

考えた事実を受け止めることです。すぐ否定せず「なぜそう思ったの」と聞き、部下の思考プロセスを尊重します。

ソニックガーデンは何をしましたか?

管理職をなくしました。上司への情報集約をなくし自立分散型にし、オンライン常時接続型の雑相を実践しています。

サイボーズの離職率はどう変わりましたか?

28%から4%に下がりました。経営情報を透明化し100人100通りの働き方で自立分散型にした結果です。

自走型組織を支えるインフラは何ですか?

評価制度の転換です。ここが変わらないと結局上司の顔色を伺うことになり、部下が受け身のままになります。

自走型組織の評価軸は何ですか?

3つあります。主体性、情報共有と協調性、リスク管理(確認の実践)を重視し、成果と合わせて評価します。

360度評価はなぜ有効ですか?

上司だけの評価を避けられるからです。一緒に働いたメンバー全員から評価を受け、成果と2軸で見ると効果的です。

成果評価が自己評価の高い人に有効なのはなぜですか?

実力が明確になるからです。事前に目標を設定し達成度で見ればぶれず、プロセス評価より客観的に判断できます。

まとめ

  • 報連相を仕事の基本とするのは日本企業だけで、徹底するほど部下の主体性を奪う中央集権的な構造です。
  • 報連相は3段階で組織を劣化させ、目的の喪失、美化された嘘、沈黙祭の完成へと進みます。
  • 代わりに、業務前の確認を最優先する確連報と、結論前のカジュアルな相談を習慣にする雑相を導入します。
  • 上司は「おひたし」(怒らない・否定しない・助ける・指示する)を意識し、部下の主体性を引き出します。
  • ソニックガーデンやサイボーズは自立分散型で成果を上げ、評価軸を主体性・協調性・リスク管理へ転換しました。

まずは自組織で沈黙祭が起きていないか現状を把握し、次の仕事の指示から確連報の確認を実践してみてください。

動画特典

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