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心理的安全性の本当の意味とは|組織を崩壊させる偽の心理的安全性TOP5【徹底解説】

解説:森田英一(beyond globalグループ President & CEO) 公開:
心理的安全性の本当の意味とは|組織を崩壊させる偽の心理的安全性TOP5【徹底解説】

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この動画の結論

心理的安全性は優しさや低ストレスではなく、高い目標のため意見を言い合う状態です。安心と基準をセットにしないと組織は崩壊し、偽の型は5つあります。

動画の基本情報

動画タイトル 【完全解説】優秀社員が持ってる心理的安全性と問題社員がとりがちな偽の心理的安全性の正体【組織開発/リーダーシップ/マネジメント/自走組織】
解説者 森田英一(もりっしー)/beyond globalグループ President & CEO
国内外1,000社以上の組織開発・研修を支援。日本の人事部「HRアワード2013」プロフェッショナル部門 最優秀賞
テーマ マネジメント/リーダーシップ/組織開発
再生時間 38:33
再生回数 6,706回視聴※YouTubeより自動取得
動画の公開日 2026年6月7日
動画URL https://www.youtube.com/watch?v=gf6EGOW6zLU
チャンネル グローバル社長の「志」で自走する組織開発チャンネル

「意見を否定しない」「上司は部下に優しく」「みんなで肯定しよう」。心理的安全性という言葉が広がるにつれ、こうしたグラウンドルールを掲げる職場が増えました。ところが「心理的安全性とは何か」と聞くと、人によって答えがバラバラで、優しさや居心地の良さと混同されているケースが少なくありません。

結論から言えば、心理的安全性が誤解されるのは個人の理解不足だけの問題ではなく、この言葉の語感が「安全に、心地よくやればいい」という響きを持つからです。誤解したまま進めると、部下が権利ばかりを主張し、社員がぶら下がり、組織はぬるま湯化して沈没・崩壊へ向かいます。この記事では、やってはいけない偽の心理的安全性トップ5と、それを利益に変える3つのアクションを解説します。

現象のメカニズム

心理的安全性が空回りする根本には、「安心」だけを切り出して「基準」を外してしまう構造があります。心理的安全性を提唱したエドモンソン教授の考えでは、失敗や「わからない」を言える安心は、高い目標を達成するためのプロセスとして存在します。安心と基準はセットなのです。

ところが日本では、安心だけが強調されがちです。否定しない、優しくする、ストレスを与えないことが心理的安全性だと誤解されると、基準が抜け落ちます。すると組織の基準値は最も低い方に合っていき、挑戦しないことが当たり前になります。

さらに、日本の忖度文化がこの誤解を強めます。空気を読んで反対意見を言わない、正論を口にする人を和を乱す人とみなす。これが心理的安全性という言葉と結びつくと、沈黙が正当化され、会議が形骸化していきます。

全体像を示すマトリクス

心理的安全性は、仕事の基準との組み合わせで理解する必要があります。縦軸に心理的安全性の高低、横軸に仕事の基準の高低を取ると、4つのゾーンに分かれます。

ゾーン 心理的安全性 仕事の基準 状態
学習ゾーン(ラーニングゾーン) 高い 高い 高みを目指し、反論やモヤモヤも言いつつ成長する
コンフォートゾーン 高い 低い 現状維持で居心地は良いが充実感や達成感が乏しい
低基準・低安全 低い 低い 挑戦もなく安心もない停滞状態
不安ゾーン 低い 高い 高い基準だが安心がなく意見が出ない

目指すべきは、仕事の基準が高く心理的安全性も高い学習ゾーンです。ストレスがないことは、言い換えれば挑戦していないということでもあります。心地よさだけを追うとコンフォートゾーンにとどまり、人はぬるま湯化し、ぶら下がり社員が生まれます。

やってはいけない「偽の心理的安全性」TOP5

組織開発の現場でよく見る、間違った心理的安全性をランキング形式で挙げます。まず一覧を示し、そのあとで1つずつ解説します。

順位 偽の心理的安全性 問題点
第5位 反対意見を出すこと自体を目的にする 代案なき批判や愚痴で基準値が下がる
第4位 リーダーの弱みを晒すだけで狂気を見せない 弱いだけのリーダーとして舐められる
第3位 無知の露呈を許容するだけで学習しない 「わからない」が学習しない逃げ場になる
第2位 正論を攻撃だとみなして封印する 耳の痛い正論が出なくなり手戻りが増える
第1位 低ストレスと心理的安全性を混同する 心地よさを追い、成長も目標達成もできない

第5位 反対意見を出すこと自体を目的にしてしまう

会議を活性化したいと発言を促すリーダーは多くいます。しかし、単なる批判や「リソースが足りません」といったネガティブ意見ばかりが出て、それを「意見が出たから心理的安全性が高い証拠だ」と自分に言い聞かせて我慢するのは、少しずれています。

本来の心理的安全性は、何でも本音をぶちまければいいということではありません。高い目標・目的を達成するためにリスクを取り、反対意見や批判をウェルカムにするものです。代案のない批判はただの愚痴であり、無責任な議論です。

リーダーが出した意見に対し「ここは良いがここはいまいち、だからこうしたらどうか」という、より良くするための批判は歓迎します。代案がまだない場合も「違和感があり、よくしたくて言っている」というスタンスが大切です。「絶対うまくいくのか」と問う人ばかりでは前に進みません。

第4位 リーダーの弱みを晒すだけで狂気を見せない

リーダーも弱みを見せた方がよい、という考え方が広がっています。海外ではヴァルネラビリティと呼び、自分の弱さや脆弱性をさらけ出すと人間味が出て、部下も相談しやすくなります。これは半分正解ですが、もう半分が抜けています。

「できないんだ」「自信がないんだ」と弱いだけのリーダーは、部下に舐められます。弱さをさらけ出すと同時に、熱い思いや基準を示す必要があります。「この目標を絶対達成したい」「ここは強みだがここは弱い」という組み合わせがセットなのです。

不完全な人間だが、この目標のために泥臭く頑張る、高い志だけは誰にも負けない。こうした狂気のような強い思いがあることで、チームは一つになります。自己開示は親しみやすさのためではなく、部下の心のスイッチを入れ、魂に火をつけるためのものです。

第3位 無知の露呈を許容するだけで学習をしない

エドモンソン教授は、心理的安全性の要素として「わからないので教えてください」と言えることを重視しています。知らないことを馬鹿にされず質問できるのは、特に若手や新しく入った人にとって大きな安心感になります。

しかし、ダメなリーダーは「わからないと言っていいよ」と全肯定するだけで終わります。すると「前に教えたのにまたわかりません」というメンバーばかりになり、チームは進みません。最初の「わからない」は良くても、一度教わったら自分のものにして学習することを求める必要があります。

教わることは他の人の時間を奪うことでもあります。正直に「わからない」と言える職場であると同時に、一度教わったら次はやる、恩返しをする、貢献する。この学習とのセットで考えることが大切です。安心が甘えになってはいけません。

第2位 正論を攻撃だとみなして封印する

頭の切れる社員がズバズバと本質をつく意見を言うと、「言い方がきつい」「空気が悪くなる」「心理的安全性的にどうか」と、誤解した人が封じ込めようとすることがあります。ハラスメントへの警戒とも重なり、それらしく聞こえるのが厄介です。

リーダーが「言い方に気をつけろ」「角が立つ」と指導すると、心理的安全性の真逆が起きます。「言ったら怒られるなら言うのをやめよう」と正論が封印されるのです。みんなが笑顔で「そうだよね」と言い合う表面的な状態になります。

本来、言い方がきつくても、お客さんのためや自社の長期的な利益、ブランドのための正論であれば、言える場を作るべきです。言い方の指導はあってよいものの、指導を間違えると意見が出なくなります。表面的な肯定は、会議のやり直しや手戻りを生み、生産性と利益を削っていきます。

第1位 低ストレスと心理的安全性を混同する

最も多い誤解が、ストレスがないこと・心地よいことを心理的安全性が高いことだと考えてしまうケースです。厳しいことを言わない、ミスを詰めない、残業させないとリーダーが盾になり、職場は仲良しでストレスフリーになります。

しかし、それで本当に成長し、高い目標を達成できるのかが問われます。ストレスがないのは挑戦していないことの裏返しでもあり、ミスの責任も問われないため人はぬるま湯化し、学習欲が下がっていきます。こうしてぶら下がり社員が出来上がります。

メリハリがあれば、心地よい時間があっても構いません。Googleも高い目標を目指しつつ、昼間にビリヤードやゲーム、社内ジムで体を動かす人がいました。高みを目指すこととセットであれば良いのです。優しい環境と高い基準は、セットで初めて機能します。

解決策・打ち手

間違った心理的安全性から変革するための3つのアクションを解説します。いずれも「安心」と「基準」をセットにすることが軸です。

安心と基準をセットで売る

リーダーは2つの約束をします。1つは「あなたの存在と発言は何があっても守る」という安心の約束。もう1つは「期待される成果・目標・目的へのコミットメントは絶対に緩めない」という基準の約束です。ハイ・アカウンタビリティの要求とも呼ばれます。

失敗は歓迎し「わからない」も言ってよい。ただしそれは次のステップアップと目標達成のためのプロセスです。結果を出さずに現状維持するために「わかりません」と言うのは違う、うちは高みを目指すチームだ、という明確なメッセージをリーダーが出します。心理的安全性を、目標達成と挑戦のためのガソリンにしていくのです。

沈黙を最大の罪と定義する

日本企業に多い「空気を読む」「忖度する」は、心理的安全性の最大の敵です。会議のルールを再定義します。意見も質問も出ないのは、考えていないか遠慮しているかのどちらかで、検討不足のサインです。

メンバーには3つの責任を伝えます。疑問があれば質問する「質問責任」、目的・目標への違和感や反論を言う「反論責任」、代案まではいかないが違和感を言う「モヤモヤ責任」です。モヤモヤを歓迎し、同じ違和感を持つ人に手を挙げてもらい、ペアで5分間対話するといった扱い方も有効です。

それでも意見が出ない場合は、あえて「反論担当」を役割として決めます。今日の反論担当はこの人、と決めれば角が立たず、致命的な欠点を3点挙げるといった形で考えて発言できます。いきなり当日に当てず、事前に議題を伝えて準備してもらうと言いやすくなります。海外では手が挙がり続けますが、日本では徐々に慣らしていくことが有効です。

リーダーが弱点と基準を同時に示す

弱さを出すだけだと基準が下がり、完璧を演じるとメンバーが本音を言えません。弱みを見せるときは同時に、何のためにこのビジネスをやっているのか、どんなチームにしたいのかという熱い思いや原体験を語ります。

「英語もITも得意ではない。でも日本のテクノロジーやおもてなしを世界に広め、次の世代に豊かな世の中を残したい志は誰にも負けない。だからみんなの力を借りたい」。このように弱さと高い基準・強い思いをセットで示すのです。

直近の失敗も、ただ晒すのではなく「この目的のために頑張っていたが今回のミスはそれに反した、だからさらに真剣に向き合っていく」と語ると、本気度が伝わります。ごまかさず紳士に向き合う姿勢が見えると、チームの真の心理的安全性が高まります。

明日から着手する順番

真の心理的安全性を高める行動を、着手しやすい順に並べます。上から順に取り組んでみてください。

  1. マトリクスで自組織が学習・コンフォート・不安のどのゾーンにいるかを確認する。
  2. 「あなたの発言は守る」という安心と「目標へのコミットは緩めない」という基準を、2つの約束としてメンバーに宣言する。
  3. 質問責任・反論責任・モヤモヤ責任の3つの責任をメンバーに伝える。
  4. 意見が出ない会議では、事前に議題を伝えたうえで「反論担当」を役割として設定する。
  5. モヤモヤが出たら歓迎し、同じ違和感を持つ人を確認してペアで対話する時間を取る。
  6. リーダー自身が弱みと高い基準・熱い思いをセットで語り、直近の失敗にも紳士に向き合う姿勢を見せる。

よくある質問

心理的安全性とは何ですか。

高い目標達成のためにリスクを取り、反対意見や質問を歓迎する状態です。単に優しくする、否定しないことではありません。

心理的安全性が誤解されるのはなぜですか。

言葉の語感が原因です。「安全に心地よくやればいい」という響きから、優しさや低ストレスと混同されやすくなっています。

優しさは心理的安全性ですか。

違います。相手を否定しない優しさを心理的安全性と勘違いするのは間違いで、高い基準とセットで初めて成立します。

誤解したまま進めるとどうなりますか。

組織が沈没し、最後は崩壊します。部下が権利ばかり主張し、会社に依存するぶら下がり社員が増えてしまいます。

偽の心理的安全性は何個ありますか。

5つあります。反対意見の目的化、弱み晒し、無知の許容のみ、正論の封印、低ストレスとの混同の5つです。

反対意見が出れば心理的安全性は高いですか。

高いとは限りません。代案なき批判や愚痴ばかりでは基準値が下がり、無責任な議論であって心理的安全性ではありません。

リーダーは弱みを見せた方がよいですか。

見せた方がよいですが半分です。弱みだけだと舐められるため、熱い思いや高い基準を同時に示すことがセットで必要です。

ヴァルネラビリティとは何ですか。

自分の弱さや脆弱性のことです。海外ではこれを部下にさらけ出すと人間味が出て、部下も相談しやすくなるとされています。

「わからない」を全肯定するのは問題ですか。

問題です。全肯定だけだと学習しない逃げ場になり、一度教わったら自分のものにする学習とのセットが必要です。

心理的安全性を提唱したのは誰ですか。

エドモンソン教授です。「わからないので教えてください」と言えることを、心理的安全性の1つの要素としています。

正論を言う人を注意してよいですか。

指導は可能ですが慎重にすべきです。誤ると正論が封印され、心理的安全性の真逆で誰もリスクを言わなくなります。

表面的な肯定は何が問題ですか。

生産性が下がります。会議で肯定しても後で愚痴が出れば会議は無駄になり、手戻りが発生して利益が削られていきます。

ストレスがない職場は良い職場ですか。

必ずしも良くありません。ストレスがないのは挑戦していない裏返しで、人がぬるま湯化しぶら下がり社員が生まれます。

マトリクスの4つのゾーンとは何ですか。

学習・コンフォート・低基準低安全・不安の4つです。心理的安全性と仕事の基準の高低の組み合わせで分類します。

目指すべきはどのゾーンですか。

学習ゾーンです。仕事の基準が高く心理的安全性も高い状態で、反論やモヤモヤを言いつつ成長していくゾーンです。

3つの責任とは何ですか。

質問責任・反論責任・モヤモヤ責任の3つです。疑問は質問し、違和感は反論し、代案がなくてもモヤモヤを言う責任です。

モヤモヤ責任はどう扱えばよいですか。

歓迎して扱います。同じ違和感を持つ人に手を挙げてもらい、5分間ペアで違和感の正体を対話する方法が有効です。

意見が出ないときはどうすればよいですか。

反論担当を役割として決めます。事前に議題を伝えて準備してもらえば角が立たず、考えて発言できるようになります。

安心と基準の2つの約束とは何ですか。

発言を守る安心の約束と、目標へのコミットを緩めない基準の約束です。この2つをリーダーが宣言する必要があります。

リーダーの失敗の話はどう伝えるべきですか。

目的と結びつけて伝えます。直近の失敗も「目的に反したので真剣に向き合う」と語ると本気度が伝わり信頼が高まります。

まとめ

  • 心理的安全性は優しさや低ストレスではなく、高い目標達成のためにリスクを取って意見を言い合う状態です。
  • 誤解は個人の理解不足だけでなく言葉の語感による構造的な問題で、放置すると組織は沈没・崩壊します。
  • 偽の心理的安全性は5つあり、反対意見の目的化・弱み晒し・無知の許容のみ・正論の封印・低ストレスとの混同です。
  • 目指すべきは仕事の基準も心理的安全性も高い学習ゾーンで、安心と基準は常にセットで考えます。
  • 解決策は、安心と基準をセットで示す・沈黙を最大の罪と定義する・弱点と基準を同時に示すの3つです。

まずはマトリクスで自組織のゾーンを確認し、次の会議で「安心」と「基準」の2つの約束を宣言することから始めてみてください。

動画特典

自組織が学習・コンフォート・低基準低安全・不安のどのゾーンにいるかがわかる、心理的安全性と仕事の基準値の診断シートを、この動画をご覧の方にプレゼントしています。マトリクス上で自分たちの現在地を把握できる内容です。

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